2016/10/23

The Beach Boys - I Just Wasn't Made For These Times (駄目な僕)〜耳コピ バッキングトラック編〜

 Pet Sounds 50周年ということで2000年に断念したI Just Wasn't Made For These Timesの耳コピに再挑戦することにしました。幸い当時は聞けなかったバッキングとボーカルを別々に聞くことができる音源もあります。これは大いに助かります。Pet Soundsの曲の楽器とコーラスの複雑さは、それはもう尋常じゃないのですから。
 僕の録音環境は、当時は4トラックのMTRでしたが、今はLogic Pro9です。何もかも当時と比べると恵まれております。頑張ってコピーしなければなりません。パッと聴いた感じで複雑なコード進行であることがわかります。複雑に聞こえさせているのはおそらくベースでしょう。ほとんとルート音を弾いていないので、いちいち音を拾っていかなければなりません。
 イントロはなくいきなり歌が始まります。I Keep Looking For a Place To Fit in〜は、印象的なエレクトリックベース、ハープシコードのコード弾きにアコースティックベースが入ります。アコースティックベースにかぶせて、バスハーモニカがユニゾンで奏でられているようです。なぜこんなことをするのか不明。Pet Soundsはいろいろな曲でバスハーモニカが鳴っているのでお気に入りだったのかもしれませんね。
 They Say I Got Brains〜からはドラムが入ってきます。このドラム、スネアしか聞こえない……。バスドラムやハイハットは叩いていないようです。これまた僕的には摩訶不思議。スネアだけのために一流ドラマーを呼んでいるのか。ドラム担当のHal Blaineは二番から入ってくるティンパニも担当しているようなので、ドラムと同時に叩いているのかしら、とも思います。このパートから、エレクリックベースとアコースティックベースがユニゾンになります。これがなんともカッコ良いです。ギターのコード弾きも聞こえます。Pet Soundsのギターは他のバンドとは一線を画す特徴的な音がしますね。The Beatlesのようにはっきりとミックスされていない。オーケストラの楽器に溶け込むようにしているのでしょう。
 Each Time Things Start To Happen Again〜からは、クラリネットの三重奏とポコポコ鳴っているパーカッションが加わります。ベースはというと、ここでまたエレクトリックベースとアコースティックベースが異なる音を弾きだします。アコースティックの方はCの音をボーンボーンと単調に弾いています。ここでもバスハーモニカがアコースティックベースとユニゾンで音を出しています。一方、エレクトリックの方はパーカッションと似たリズムと音程で、これまた印象的なフレーズを弾いています。実によく練られております。ドラムはここではお休み。高い音でギターのような弦楽器が入っています。ギターは二人弾いているようなので、既出のギターとは別のもう一人かもしれません。ギターでいうと12フレットあたりの高い音がします。初期のセッションではバンジョーが入っていたようですが、マスターテイクからバンジョーの音は聞き取れないので、ボツになったのでしょう。
 Sometimes I Feel Very Sad〜のリフレインの部分では、スネアが再度登場し、曲を盛り上げて行きます。ここでは、タックピアノというのが入ってきます。これが少しハネたリズムでホンキートンクピアノでやりそうな陽気な雰囲気を出してきます。I Feel Very Sadと歌いながら陽気な雰囲気。ここでは、エレクトリックとアコースティックのベースが再度ユニゾンになります。ここが終わるといよいよ、タイトルのフレーズ、I Guess I Just Wasn't Made For These Timesがでてきます。時代の一歩先を行くBrianが、ため息まじりに呟いているような印象を受けます。ここはクラリネット三重奏とピッコロがオクターブユニゾンで奏でられ、二番への橋渡しとなります。
 二番では前述のティンパニが加わります。二回目のBrianのため息まじりの後、いよいよテルミンの登場です。ロシアの科学者が発明したこの「触らない楽器」。これを起用することも奇想天外ですし、このテルミン登場部分のクラリネットの和音が僕には理解不能です。ブレイクの後、テルミンがメロディを不安定に奏でます。間奏ではテルミンを邪魔しないためか、エレクトリックベースも冒頭の印象的なフレーズは弾かずにアコースティックベースと同じ音を弾いています。テルミンの間奏が終わると、I Guess I Just Wasn't Made For These Timesの輪唱が始まり、そのままフェードアウトしていきます。この輪唱部分でバスドラムが微かに聞こえるような聞こえないような……。ステレオバージョンのLチャンネルから八分音符の裏拍で微かに聞こえなくもない。一カ所こういうのを見つけると他にも実は微かに聞こえるのでは?!とまた聴き直すことになります。だから耳コピ時間かかるんですわ。
 なぜこんな楽器を使うのか、なぜこんな和音なのか、といろいろ発見が多いです。特にベースのフレーズはThe Beatlesの『Sgt. Pepper〜』のPaulのベースに影響を与えただけのことはあって、印象的かつ効果的でとても興味深いものになっています。
つづく

2016/10/18

The Beach Boys - I Just Wasn't Made For These Times (駄目な僕)〜Pet Sounds 50周年〜

 今年はPet Sounds発売50周年だそうです。50年も前なのか!と驚きを隠せず一人オロオロしながら久々に聞きなおしてみました。これが半世紀前の曲なのかー!ってやっぱり思いますね。Pet SoundsとSMiLEは高校生の頃ハマりすぎて、そのせいで大学浪人した過去が僕にはありますが、それから考えてもすでに16年ほど経過しているわけです。未だに聞き飽きないこのマジックは一体なんなんでしょうか。
 初めて買ったPet SoundsのCDがMono版、多分中学生の頃。その次が高校生でMono & Stereo版。Stereo音源を聞いて、アレンジとコーラスの複雑さに驚愕しました。次は、Pet SoundsのMono、 Stereoに加えて、バッキングトラックのセッションハイライト、バッキングトラックのみ、ボーカルトラックのみが聞ける感涙のボックスセットを買いました。この時点ですでに三種類! 同じアルバムにどれだけ金をかけるのか。そして50周年の今年、また出ましたよ……。今回はボックスセットの音源に加え、Pet Soundsの曲をライブで演奏した音源が追加。しかし、これは正直あんまり惹かれまんでした。どうせライブであの音は出せない…。オーケストラでも呼ばないと。50周年板は見送りかなぁと思っていましたが、いろいろレビュー等を読んでみると、今までのMonoの高音質な音源が発見されて、それが収録されたと…。こういうこと言われるとね、マニアは買っちゃうんですよ。まったく同じ曲が入っているアルバムを何枚も持っているなんて、AKBヲタのこととやかく言えませんなw
 輸入版で、7500円ほど@amazon。CD4枚 プラスBlu-rayオーディオ1枚!
 もう安いんだか、高いんだか分かりません。とにかく気になって買わずにはいられません。


 Pet Soundsがどのようなアルバムなのか、60年代の音楽シーンでどういった位置付けなのか、そういったことはちょっと検索すれば腐るほど出てくるので詳しく書くつもりはありませんが、要はThe Beatlesの『Rubber Soul』を聞いたThe Beach Boysの頭脳、Brian Wilsonが触発されて、一念発起して作り上げた歴史に残る超名盤なのです。

 めちゃめちゃハマっていた17歳くらいの頃にGod Only Knowsを耳コピして録音したことがありました。Mono版を聞いてのコピーは本当に大変だったなぁというのを今でも覚えています。4トラックのMDのMTRとSY77で作りました。
 

 今聞くと間違っていたり、足りなかったりする音があって、小っ恥ずかしいですが、当時はヒューできた〜と安堵のため息を漏らしたのでものです。それからもういっちょ、Pet SoundsのハイライトであるI Just Wasn't Made For These Timesという曲があって、これにも挑戦したのですが、出だしだけであえなく断念。Mono音源って、これは仕方がないのでしょうが、ボーカルが入るとバッキングトラックの音を小さくしていますよね。音が割れちゃうからなのだと思いますが、そのせいでバッキングが聞こえない……、コピーできない……。その断念した音源がこれ。2000年、こちらは4トラックのテープのMTRとYAMAHA SY77で作成した音源。



それから16年経って、録音環境も様変わりし、50周年記念ということで再挑戦してみようと思い立ちました。Pet Soundsを耳コピするのがいかに骨が折れることなのか、God Only Knowsを耳コピした僕は知っておりますけれども、50周年ということならやらないわけにはいきません。
つづく